2017年01月11日

セルフメディケーション税制

平成29年1月1日からセルフメディケーション税制という制度が施行されています(措法41の17の2)。

これは、従来の医療費控除制度との選択適用で、一定の要件を満たす居住者がスイッチOTC薬(医療用の医薬品と同じ有効成分が含まれる市販薬)を購入し、その年間の購入金額が12,000円を超えた場合にはその超えた金額(上限88,000円)を医療費控除の特例として控除できるというものです。

従来の医療費控除制度は、支払った医療費の額が100,000円(または総所得金額の5%)を超えた場合に、その超えた金額(上限2,000,000円)を控除するものでした。

そのため、入院や出産など、医療費が大きくかかった年以外は、「10万円以下だから医療費控除はできないだろう」と諦めることもありました。

でもこの新たな制度により、医療費の支出が少額であったとしても、医療費控除を受けることができる可能性がありますね。

下記の図をご覧ください。

新医療費控除.png

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前提
x:スイッチOTC薬購入費
y:上記以外の医療費支出額
A:新制度の医療費控除額
B:従来制度の医療費控除額

A=x-12,000(A≦88,000)
B=x+y-100,000(B≦2,000,000)
説明を簡単にするため、Bが総所得金額の5%を超えた場合は考慮しないこととします。
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図で分かるようにy=0(B1のケース)では、スイッチOTC薬を188,000円購入するまでは新たな医療費控除制度を選択したほうが有利になります。

ところがy=88,000(B3のケース)では、B3の線がAの線を下回ることはありません。

結論として、y(スイッチOTC以外の医療費支出額)が88,000円以上であれば、従来の医療費控除制度を選択したほうが有利ということになります(ただし、どちらの制度を選択しても結果ゼロ円ということはあります)。

ただ、前提からは省いたものの、旧制度の100,000円を5%で割戻し計算し、総所得金額が2,000,000円以下の場合も検討すべきことになれば、実際の申告に当たっては全ての医療費の金額を入力して申告ソフトに判定してもらうことになりそうですね。

なお、この新しい医療費控除制度は、申告をする本人が健康維持の為に一定の取り組みを行っていることが条件となっています(措法41の17の2@)。

具体的には、人間ドックや職場の事業主健診を受診していること、インフルエンザの予防接種を受けていることなどで、これを明らかにする書類添付が申告の要件となっています。

詳細については厚労省のHPをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

ところで、この新しい医療費控除の規定は、条文の本文で「医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高い一般用医薬品等の使用を推進する観点から…」と趣旨が記載されています。

措置法を横断的にじっくり読んだことはないのですが、本文に趣旨まで記載されている条文はわりと珍しいんじゃないかと思いました。
posted by haritani at 10:44| Comment(0) | 税法